【著者プロフィール】

Athol Fugard アソル・フガード

 現存する最も偉大な劇作家の一人と称され、その戯曲は世界中で上演されている。南アフリカでは著書や演劇が広く愛されている国民的作家。1932年、南アフリカのミドルバーグ生まれ。母はアフリカーナー、父はイギリス人。白人でありながら反アパルトヘイト活動を続け、黒人と共に演劇を制作、上演した。アパルトヘイト批判により、南アフリカ政府と対立し、'60年代にはパスポートを没収されたことなどもある。
 英語で書く作家であるが、南アフリカの多彩な言語を巧みに台詞に取り入れ、それが作品に深い味わいとリアリティーを加えている。戯曲はトニー賞、イブニングスタンダード賞など受賞も多く、数作品は映画化もされている。舞台・映画俳優、演出家としての活動もしており、映画『ガンディー』や『キリング・フィールド』には俳優として出演した。
 戯曲『血の絆』、『谷間の歌』、『ハロー・アンド・グッドバイ』などは日本でも文学座や劇団昴によって上演され、『谷間の歌』は出版されている(’99年 而立書房)。 最近の作品は2004年上演の『Exits and Entrances』や2006年上演の『Booitjie and the Oubass』など。
 妻シーラ・フガード、娘のリサ・フガードも作家で女優。


【訳者プロフィール】

金原瑞人 かねはらみずひと
 
翻訳家。法政大学社会学部教授。
 1954年、岡山県生まれ。ヤングアダルト分野を中心に精力的な翻訳活動を行い、訳書は260以上にのぼる。主な訳書に『ブラッカムの爆撃機』(岩波書店)、『豚の死なない日』(白水社)、『満たされぬ道』(平凡社)、『バーティミアスT〜V』(松山美保との共訳/理論社)、『青空のむこう』(求龍堂)、『ホエール・トーク』(西田登との共訳/青山出版)などがある。
著書に『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』(牧野出版)など。

『ツォツィ』訳了後の言葉は、
「最初の殺人から、強烈なラストシーンまで、異様な緊張感にあふれた作品。いまの日本人には絶対に書けないタイプの小説だと思う。傷口に塩を塗り込まれるような痛みが全編を走っているが、信じられないほど切なく迫ってくる魅力がある」

http://www.kanehara.jp/


中田香 なかたかおり  

翻訳家。新潟県生まれ。
訳書に『まぼろしのロンリヴィル』(求龍堂)、『Love Affairs 歴史に残る、世界の恋人たち』(代田亜香子と共訳/ポプラ社)がある。

『ツォツィ』訳了後の言葉は、
「作品を訳しながら、ふと涙ぐむ場面が多々ありました。その涙は、心の底からわいてくる、怒りと哀しみと希望と感動がまぜこぜになった、複雑な涙でした」